いもピコ

豊かな水に恵まれた結のふるさと越前大野の伝統農具いもぐるまでピコ水力発電してみよう大作戦

いもピコ はじまりのはじまり

こんにちは。いもピコです。

「いもピコ」というのは、何のことやら分からない謎フレーズだと思いますが、「越前大野いもピコ作戦」の略です。

ちょっとだけ情報が増えたとはいえ、まだまだ何のことやら分からないと思うので、「越前大野いもピコ作戦」が何のことなのか説明すると、「豊かな水に恵まれた結のふるさと越前大野の伝統農具いもぐるまでピコ水力発電してみよう大作戦」の略称です。

 どうやら大事なところをザクザク略してしまったようですね。なので当然、「大作戦」の「大」みたいなのは略していますよ。

何をするプロジェクトなのかというと、ここまで長い名前になればだいたい名前の通りで分かるはずなので説明は省略して、足りないところは追々分かってくる感じにしたいと思います。

 

伝統農具いもぐるま

ところで、この写真に写ってるもの、何だと思いますか?

木でできた、箱のような、この放射状の感じが車輪のような。

f:id:daichi76y:20181011061819j:plain

そうです。これは、越前大野の伝統農具で「いもぐるま」というものです。

 

福井県の少し山沿い、奥越前と呼ばれる地域に越前大野こと大野市はあります。このあたりでは、昔からコメの裏作として里芋の栽培が盛んでした。そして、里芋を洗って泥を落とすために使っていたのが、この「いもぐるま」。

箱状になった内側に里芋を放り込み、真ん中に空いた穴のところに棒を通します。それを田んぼの横の用水路に引っかけるようにして置いておくと、水の流れで車がぐるぐると回り、中の里芋がゴロゴロ転がりながらぶつかりこすれて、ドラム式洗濯機みたいな感じできれいになるというものです。

昔は農家には必ずひとつあったものなのだそうですが、最近は機械化が進んだこともあり、あまり見かけなくなったのだそうです。

 

ピコ水力発電をはじめよう

と、見せかけて、本当は「いもぐるま」ではありませんでした。よく見てください、中心に近いところからコードのようなものが出てるでしょ。

実はこれ、小型の発電用水車です。「いもぐるま」の形をした発電用水車。ていうか、「いもぐるま」を使って作った発電用の水車になります。

とはいえ、直径40cmくらいの小さな水車。しかも、「下がけ式」と分類される、とてもトラディショナルでエネルギーの変換効率が悪い水車です。発電できる電力は本当にちょっとだけ。

 

クリーンな再生可能エネルギー地産地消のエネルギー、ということでダムを使わない小型の水車を使ったマイクロ水力発電が注目されていますね。数軒から十数軒ほどの家庭の電力をまかなえるくらいのものですが、初期投資は数千万円かかり、エネルギー効率を上げるためにコンクリートを使った工事で水路を分流し山の斜面の高低差を利用して発電するものがほとんどです。

それより小さい農業用水路などを使って発電するのがナノ水力発電です。家一軒分には足りないけれど、電灯を点けたりする分には十分な電力が得られます。マイクロより小さいからナノ水力。

ところが、いもぐるま発電はナノまでちょっと届きそうにありません。ナノより小さいピコ水力。それでも、LED電球を点けたり、コツコツ電気を貯めてスマホを充電したりくらいならできるかもしれません。

 

水とともに生きる地域のアイデンティティ

「うーん、役に立たないねえ。電気代安くならないじゃない。原発やってる大手の電力会社の契約切れないじゃない」

そんなことは分かっていますよ。だって、ピコだもん。いもピコだもん。

電気をつくるだけの方法ならいろいろあります。お金と電気には色が無いので、どんな方法でつくっても電気は電気。ソーラーパネルを一枚買ってきた方が安くて手軽に大量に電気はつくれます。

 

じゃあ、なんのための「いもピコ」なのでしょう。

 

f:id:daichi76y:20181011061934j:plain

越前大野は水のまち。周囲の山々に貯えられた豊かな水が、河川として湧水として盆地を満たしてくれる名水の街です。地下水が豊かなので、上水道の整備率は全国でも最低ランクというくらい。それでも昭和の終わり頃には地下水の水位が大幅に下がる「井戸枯れ」があったと言います。それから、市民一丸となった保全活動で豊かな水を取り戻した歴史があります。

大切なのは、水のまちのアイデンティティ。水とわたしの関係を常に見つめ直し、確認し合うこと。そのための、水と街と人をつなげるツールとしてなら「いもピコ」が少しはお役に立てるかもしれません。

 

 

そんなささやかなところからスタートした「いもピコ」ですが、なんでこんなことを始めたのか。時間を巻き戻して見てみましょう。

といったところで、そろそろ文字数・・・。

次回は、いもピコのはじまりのはじまりのはじまり。字数はもっと少な目でお送りします。